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5115STUDIO BLOG

縦横無尽・全天候型イラストレーター・モトムラタツヒコの日常。

かばやけ!夏休み

 たまにしか会えないのに、否、たまにしか会えないからこそいとおしくって仕方がない、そんなモノがいくつかあって、私にとっては「鰻」もそのひとつ。

 とにかく、大好きだ。「うなぎ」と名のつくもんなら、丼だろうがスーパーのパック売りだろうが国内産だろうが外国産だろうが蒲焼だろうが蒲焼さん太郎だろうがパイだろうがイヌだろうが、とにかく、大好きなんだ…。
 しかし当方貧乏人ゆえ、なかなか、お目にかかれない。そんなある日-

 お世話になっている方と昼食の約束、天神で待ち合わせ。連れて行ってもらったのは福岡ビル地下の、『しろ』というなぎ専門店で、聞けば福ビルオープン当初から暖簾を構える名店である。とはいえサラリーマンの多い区画であるから、値段もお手頃、うな丼の「梅」に肝吸を付けて、ちょうど千円。キョウビ、天神で昼食と言ったらどこでも七、八百円はかかるでしょう。そこで食ったか食わないかわかんねえような貧弱パスタや気取ったランチなんかより、ここはぐぐっと堪え2回のトコを1回にしてもだな、俺は断然、うなぎが食べたい!と、以来、天神でお昼となればその店を利用していた。
 嗚呼、しかし。今年の春、店は閉店、俺にとっては唯一にして無二の「気軽に行ける鰻屋さん」がなくなってしまい、ボーゼンとした。「ごひいきカード」のスタンプ、集めてましたのに…。

 静かな店内、というのも大きな魅力のひとつで、ここはなぜだか「お一人様」が多かった。年齢層も初老と呼べる人たちばかりで、皆それぞれ静かに席につき、注文し、運ばれてきた鰻を静かに食べている。つまり、オトナの店ですね。
「っでっさぁ、あいつがさぁ」…よっこいさぁ、どっこいさぁ、なんて思わず合いの手入れたくなるよな、食ってんだか喋ってんだがメールしてんだか髪いじくりまわしてんだか分からないガキ共は、来ない。美味しいうな丼もさることながら、その雰囲気も、大好きでしたのに…。


 嗚呼、あの弁柄色に輝く妖しくもなまめかしい小悪魔よ…、炭と煙の織り成す馥郁たる香りよ‥‥‥もう会えないのか‥‥見切り品コーナー以外でよぅ…なんて遠いお空に思いを馳せ、ヨダレを垂らす三十代を見かねてか、またまたある方が連れて行ってくださった。
 場所は南区・長住。ほう、こんなトコに!と突然現れる雑居ビル一階の、歴史ある佇まいのお店。オモテの換気扇からは、早くも誘惑の香り。
 煙に黒く煤けた暖簾をくぐり中に入れば、「昭和51年開店」の文字、同い年じゃん、俺と。そんなに古くないよ、全然。むしろ新しい、まだまだ若いよ、大丈夫…となぜだか複雑な心境となった俺の気持ちを静めるかのように運ばれてきたのはうなぎボーン、ホラ、骨ですよ。酒のツマミでよくあるでしょう、アレ。塩味が効いて、美味い。そして程なく俺の眼前に姿を現したうな重の美味さときたら!!!肝吸の芳味ときたら!!!

…この夏、俺はがんばるぞ、だって一度でも多く、この店に行きたいから…。ようし、そうと決めたら…。
 汗だくになって街を走り回り、更にすっかり日焼けした俺を見て、相方が言った。

「…なんか、蒲焼きみたいな色になったね…」…ではまた。
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福岡市在住のイラストレーター、モトムラタツヒコです。

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