霧の5次元 −女子大学祭潜入編−
好きな音楽でも共鳴する部分が多い相棒と俺。だから彼との長距離移動は車中の音楽も楽しみのひとつである。
初日の朝。相棒のチョイスはザ・バーズの『霧の5次元』だった。彼がこないだ思わずジャケ買いしてしまったというその一枚は、俺も聴いたことがなかったので胸が躍った。
起き抜けにテンションの低い俺たちふたりは、スピーカーから流れる軽快なメロディーによってようやく暖まってくる。気温は低いが、気持ちが良い秋晴れの朝である。
「Fifth Dimension…ディメンション… 」 助手席でジャケットを見ながらつぶやく相棒。
「どうしたの?」と俺。
「コレ、『霧』っていう単語はないんよねぇ。原題の『Fifth Dimension』はただ『5次元』って意味なんだ。でもなんで邦題は『霧の5次元』なんだろう…」
「ビートルズの『涙の乗車券』みたいなもんだよ。アレも原題は『Ticket to Ride』だけど、邦題には『涙』が付くでしょう」−俺は、我ながら良い返答だな、と思いながらアクセルを踏んだ。
「まあ何にせよ、当時の邦題を付ける人のセンスは最高だなぁ…」 結局、『霧』問題は何一つ解決していないのだが、なんとなく納得してくれた相棒。しかしコレを聴きながら行くと、正に霧の5次元へトリップしてしまいそうな感覚へ陥ってしまうが、通り慣れた道を走る我々は迷うことなく目的地へと到着する。
本日から、俺たちが「年間を通じてもっともテンションが上がる3日間」である、九州女子大学学園祭での出展なのだ。
毎年、我々のブースは正面玄関からまっすぐ進んでトンネルを抜けた先の売店の横っちょに設営する。学園祭は校内だけでなく一般にも開放されているので、「女子大だぁ!」と鼻息荒げて勇んで来るオッサンなどは、いきなり前方右側におんなじように物騒なカオしたオッサンふたりが並んでいる画に驚くだろう。
学園祭だけあってあちこちに模擬店が作られ、おでんやお菓子など売っている。フツーの祭りと違うのはこれらすべてが学生の手作りで、実にしみじみと美味しいのである。
「…いかがですかぁ…」の声に、自分たちのブースの設営もまだ済んでねぇうちから早くも本分を忘れ祭りムードに呑まれ、
「…いいなぁ、やっぱり学祭はいいなぁ…で…なに食う?」などと盛り上がるだらしないオヤジふたり。
我々の向かいは昨年まではソフトボール部の学生たちがはし巻きを売っていたのだが、今年は初等教育科のじゃがバター屋さんに変わっていた。そのテントはBGMでモーニング娘。のCDを大音量で鳴らしている。つい先程までオッサンのオッサンによるオッサンのためのロックにどっぷり浸りここまでやって来た私らとしては、芋焼酎が欲しいのにミルクセーキが出てきたような、なんだか落ち着かない気分に陥るが、郷に入らば郷に従えである。何人たりともここでボブ・ディランのシワガレ声など望んではナラヌのだ!
で、結局、その状況に二時間もすればすっかり慣れた。終いにゃふたり、気付けば口ずさみ、口笛を吹く。無意識にリズムをとり、歌詞まで覚えちゃった。
ふと木彫りの手を休めた相棒、踊ってる。曲に合わせて。
おやおや、今日は随分、ゴキゲンね。
でもこれはこれで、やっぱりかなり危なっかしい画ね…。
踊る相棒の隣で、母親のような眼差しの俺は思う。
「霧の5次元からLOVEマシーンに乗ってひょっこりひょうたん島に来ちゃったな…」
初日の朝。相棒のチョイスはザ・バーズの『霧の5次元』だった。彼がこないだ思わずジャケ買いしてしまったというその一枚は、俺も聴いたことがなかったので胸が躍った。
起き抜けにテンションの低い俺たちふたりは、スピーカーから流れる軽快なメロディーによってようやく暖まってくる。気温は低いが、気持ちが良い秋晴れの朝である。
「Fifth Dimension…ディメンション… 」 助手席でジャケットを見ながらつぶやく相棒。
「どうしたの?」と俺。
「コレ、『霧』っていう単語はないんよねぇ。原題の『Fifth Dimension』はただ『5次元』って意味なんだ。でもなんで邦題は『霧の5次元』なんだろう…」
「ビートルズの『涙の乗車券』みたいなもんだよ。アレも原題は『Ticket to Ride』だけど、邦題には『涙』が付くでしょう」−俺は、我ながら良い返答だな、と思いながらアクセルを踏んだ。
「まあ何にせよ、当時の邦題を付ける人のセンスは最高だなぁ…」 結局、『霧』問題は何一つ解決していないのだが、なんとなく納得してくれた相棒。しかしコレを聴きながら行くと、正に霧の5次元へトリップしてしまいそうな感覚へ陥ってしまうが、通り慣れた道を走る我々は迷うことなく目的地へと到着する。
本日から、俺たちが「年間を通じてもっともテンションが上がる3日間」である、九州女子大学学園祭での出展なのだ。
毎年、我々のブースは正面玄関からまっすぐ進んでトンネルを抜けた先の売店の横っちょに設営する。学園祭は校内だけでなく一般にも開放されているので、「女子大だぁ!」と鼻息荒げて勇んで来るオッサンなどは、いきなり前方右側におんなじように物騒なカオしたオッサンふたりが並んでいる画に驚くだろう。
学園祭だけあってあちこちに模擬店が作られ、おでんやお菓子など売っている。フツーの祭りと違うのはこれらすべてが学生の手作りで、実にしみじみと美味しいのである。
「…いかがですかぁ…」の声に、自分たちのブースの設営もまだ済んでねぇうちから早くも本分を忘れ祭りムードに呑まれ、
「…いいなぁ、やっぱり学祭はいいなぁ…で…なに食う?」などと盛り上がるだらしないオヤジふたり。
我々の向かいは昨年まではソフトボール部の学生たちがはし巻きを売っていたのだが、今年は初等教育科のじゃがバター屋さんに変わっていた。そのテントはBGMでモーニング娘。のCDを大音量で鳴らしている。つい先程までオッサンのオッサンによるオッサンのためのロックにどっぷり浸りここまでやって来た私らとしては、芋焼酎が欲しいのにミルクセーキが出てきたような、なんだか落ち着かない気分に陥るが、郷に入らば郷に従えである。何人たりともここでボブ・ディランのシワガレ声など望んではナラヌのだ!
で、結局、その状況に二時間もすればすっかり慣れた。終いにゃふたり、気付けば口ずさみ、口笛を吹く。無意識にリズムをとり、歌詞まで覚えちゃった。
ふと木彫りの手を休めた相棒、踊ってる。曲に合わせて。
おやおや、今日は随分、ゴキゲンね。
でもこれはこれで、やっぱりかなり危なっかしい画ね…。
踊る相棒の隣で、母親のような眼差しの俺は思う。
「霧の5次元からLOVEマシーンに乗ってひょっこりひょうたん島に来ちゃったな…」
気張レヤS51
ここ半年の自分の中での大きな変化といえば、ズバリ
「2本の発泡酒よりも1本のビール」体質になったことだ。一ミリリットルでも、一滴でも多くのサケをひたすら追い求めていた不毛なバカ呑み泥酔時代には別れを告げ、つまりは「量より質」を重視するトシになったのだ。理由はいくつかあって、アサヒの『ザ・マスター』やサッポロの『クラシックラガー』など「俺好み!」な味わいが立て続けに発売されたことも大きい。1本だけ買ったそれを、うやうやしくいつくしむように、大事に大事に呑みながら、俺は静かに思うのだ。
…また「オトナの階段」のぼっちゃったなあ…俺ぁまたシンデレラか?
…オトナの階段…時折足くじいたりもしたけれど………なんてね。
最近、同い年の連中に会う機会が多くあった。皆それぞれに久し振りの再会で、嬉しく喜ばしい一時であったのだが…、ハイ、こっから先はね皆サン、あくまでもテメエのこたぁ棚に上げて。棚に上げてね、言いますよ。俺。
「…なんだかみんな、老けたなあ……」
三十路を過ぎて、自然と仕事のストレスや今後のこと、そして病の話などが話題の俎上に上るようになった。笑いながらも、浮かない顔で。
生きてりゃ楽しいことばかりじゃないってことは理解している年である。それでも今後の会話の中で、イヤでも増えてくであろうそんな話題の数々の「兆候」が見えた、もはや俺たちはその入口に立っているってことが、妙にショックで衝撃的でもあった。
…子ども用帽子を被ってマミー飲みつつマメシバがどうとか言ってる場合じゃないのだ…。
皆、周囲の環境と戦いながら着実に「オトナの階段」を駆け上がっているんだろうなあ。ハイ、そこで!そんなアナタ!
先行き不透明な時代に、それよりなにより抜け毛が気になるアナタ!
最近笑ってもいないのに、目じりのシワが気になるアナタ!
気付けば呼吸がため息に変わりつつある、そんなアナタ!
夢の中でも働いて、起きたらグッタリ疲れてる、そんな俺!じゃなかった、アナタ!
…北九州へ、COME ON!!!
『九州女子大学・九州女子短期大学 第49回 華秋祭』
開催日:11月1日(日)〜3日(火)
−’03年から参加させていただいている九州女子大学の学園祭に、我が5115STUDIOが今年もアートブースを出展いたします。もちろん、相棒の木彫師・川部まさるも一緒です。
場所等詳細は同校HPをご覧下さい。
http://www.kwuc.ac.jp/campus/festival.html
−確かに最近「オヤジ臭」が漂うようになった我が身は認めるところだが、俺なんかアレだよ、未だにヨソの子に「オジサン」って呼ばれたら殴っちゃう。親の見てないところで。そんな俺に、同級生の友人が−
「おまえはね、アレだよね、若いというか幼いんだよ…」
…長内だと!誰ソレ!いいじゃん!オサナイだろうが引かないだろうがシンデレラだってピーターパンだって!!!俺ぁまだ青春時代を謳歌してるぜ!夕陽に向かって、叫んじゃう!!
「きんにくつうがぁぁぁぁぁいまごろぉぉぉぉぉぉぉぉ…!!!!!」
とにかくアレだ、同年代諸君!老け込むにゃあまだ早いぞ、祭りだ、ワッショイ!!!
「2本の発泡酒よりも1本のビール」体質になったことだ。一ミリリットルでも、一滴でも多くのサケをひたすら追い求めていた不毛なバカ呑み泥酔時代には別れを告げ、つまりは「量より質」を重視するトシになったのだ。理由はいくつかあって、アサヒの『ザ・マスター』やサッポロの『クラシックラガー』など「俺好み!」な味わいが立て続けに発売されたことも大きい。1本だけ買ったそれを、うやうやしくいつくしむように、大事に大事に呑みながら、俺は静かに思うのだ。
…また「オトナの階段」のぼっちゃったなあ…俺ぁまたシンデレラか?
…オトナの階段…時折足くじいたりもしたけれど………なんてね。
最近、同い年の連中に会う機会が多くあった。皆それぞれに久し振りの再会で、嬉しく喜ばしい一時であったのだが…、ハイ、こっから先はね皆サン、あくまでもテメエのこたぁ棚に上げて。棚に上げてね、言いますよ。俺。
「…なんだかみんな、老けたなあ……」
三十路を過ぎて、自然と仕事のストレスや今後のこと、そして病の話などが話題の俎上に上るようになった。笑いながらも、浮かない顔で。
生きてりゃ楽しいことばかりじゃないってことは理解している年である。それでも今後の会話の中で、イヤでも増えてくであろうそんな話題の数々の「兆候」が見えた、もはや俺たちはその入口に立っているってことが、妙にショックで衝撃的でもあった。
…子ども用帽子を被ってマミー飲みつつマメシバがどうとか言ってる場合じゃないのだ…。
皆、周囲の環境と戦いながら着実に「オトナの階段」を駆け上がっているんだろうなあ。ハイ、そこで!そんなアナタ!
先行き不透明な時代に、それよりなにより抜け毛が気になるアナタ!
最近笑ってもいないのに、目じりのシワが気になるアナタ!
気付けば呼吸がため息に変わりつつある、そんなアナタ!
夢の中でも働いて、起きたらグッタリ疲れてる、そんな俺!じゃなかった、アナタ!
…北九州へ、COME ON!!!
『九州女子大学・九州女子短期大学 第49回 華秋祭』
開催日:11月1日(日)〜3日(火)
−’03年から参加させていただいている九州女子大学の学園祭に、我が5115STUDIOが今年もアートブースを出展いたします。もちろん、相棒の木彫師・川部まさるも一緒です。
場所等詳細は同校HPをご覧下さい。
http://www.kwuc.ac.jp/campus/festival.html
−確かに最近「オヤジ臭」が漂うようになった我が身は認めるところだが、俺なんかアレだよ、未だにヨソの子に「オジサン」って呼ばれたら殴っちゃう。親の見てないところで。そんな俺に、同級生の友人が−
「おまえはね、アレだよね、若いというか幼いんだよ…」
…長内だと!誰ソレ!いいじゃん!オサナイだろうが引かないだろうがシンデレラだってピーターパンだって!!!俺ぁまだ青春時代を謳歌してるぜ!夕陽に向かって、叫んじゃう!!
「きんにくつうがぁぁぁぁぁいまごろぉぉぉぉぉぉぉぉ…!!!!!」
とにかくアレだ、同年代諸君!老け込むにゃあまだ早いぞ、祭りだ、ワッショイ!!!
『幼獣マメシバ』の奇跡!
この時期、書店を賑わすのが来年のカレンダーというやつですね。いささか早過ぎる気もするんだけど…。まあしかし売り場は今年も華やかに、毎度お馴染み世界の絶景、巨匠の名画の数々や開運招福占い系、ハナタレアイドルや誰コレタレント系から余計なお世話だ雑学サブカル系まで、実に色とりどりに賑やかしい品揃え。
そして私が注意して覗いているのはやっぱりどうして動物系、というのは件の資料探しがもはや苛立ちを通り越し殺気立っているからで、どれもこれも似たようなイヌネコちゃんオンパレードに血管ピクつかせ、
「大体アレか?鍋にブチ込んだだけのネコの写真やブサイクなだけのイヌの写真、年中見続けてああああんやっぱりかあいいい(かわいい)…!おかげできょうもほっこりいい…!なああんてヤツ、いんのか?ああったまおかしーんじゃねーのー!?っていうかそんなモンより俺が欲しーのは!俺が欲しーのはぁぁぁ…!」なあんて絶叫、したいけど絶対できないから。
結局また、荒々しい吐息だけ残し書店を去るのだ。
週末、近所のTSUTAYAに行った。ウチでゆっくり映画でも観ようと思った。ちょうどその日は旧作100円!という日であったので、懐かしのアレや見逃したコレでも観ようと思った。
で、店内をいろいろ物色していると、早くもアノ!新作が登場してしまっている。俺は俄かに興奮し始め、どうしよ…観たいの全部観てたら、それこそ年越しちゃう…なんて目まぐるしく考える。
しかし映画というヤツは鑑賞する際の己の肉体、および精神状態も重要なポイントである。疲れてる時に、頭使うサスペンスや深刻すぎるドキュメンタリーなど観たくはない。片時も目が離せない!手に汗握る緊迫の展開の中で一時停止し、呑み過ぎてトイレに立ちたくなどない。そしてその日、俺は疲れていた。なるべく、お気楽なヤツがいいなあ。そして次の瞬間!『MILK』も『グラン・トリノ』も押しのけかき分け手にした一本がコレ!
『幼獣マメシバ』−いやああああんかあいいいい(かわいい)!!!プッピイちゃん!ヤダもうそんな目で見ないで!エンゼルちゃん!!と完全に危なっかしいオッサンに変貌してしまい、気付けばカウンターにいた。それでも、最初はこういう動物映画にありがちな可愛さだけのお涙頂戴B級モノと思っていた。まあ今夜はそれでもいいやと。−さにあらず。さにありませんよ、奥さん。コレ。いいよ。めっちゃくっちゃ面白いよ。
ストーリーは、これまで35年の人生において一度も国道を越えたことがない(このヘンの設定が妙にリアルでいいね)という引きこもりニートの主人公が父の死を境に失踪した母親をイヤイヤながらも探しに行く…という、冷静に考えてみれば「別に犬いなくていいじゃん」的話なんだが、そこは絶妙にさまざまな状況が混ざり合って、こちとら釘付けなのである。なにより主役の35歳ニートを演じる佐藤二朗の「怪演」がとにかくイイ!クセになる!皮肉にも、マメシバがぼやけてしまうほどに!そしてやっぱりマメシバは可愛すぎ、どうしようもなく欲しくなってしばらくかなり真剣に考えてしまったんだが、悲しいかな木造モルタル2階建ての我が家はペット禁止なのである。
「…今はガマンだ…我慢しよう……カレンダーで…」
というわけで、意表を突きまくった思わぬ「掘り出し物」に大満足の金曜日の夜だった。コレ、モトはドラマだったんですね、全然知らなかった。ドラマ版も、今度借りてみよう…。しっかしアレだな、35歳で、ニートで引きこもりって設定が、かくも自然な世の中になってしまったんですね…と平日昼間にウチでマミー飲みながら寝転ぶ俺はもうすぐ33歳。ではまた。

↑俺のハートを鷲掴んだ奇跡のナイス・ジャケ!
そして私が注意して覗いているのはやっぱりどうして動物系、というのは件の資料探しがもはや苛立ちを通り越し殺気立っているからで、どれもこれも似たようなイヌネコちゃんオンパレードに血管ピクつかせ、
「大体アレか?鍋にブチ込んだだけのネコの写真やブサイクなだけのイヌの写真、年中見続けてああああんやっぱりかあいいい(かわいい)…!おかげできょうもほっこりいい…!なああんてヤツ、いんのか?ああったまおかしーんじゃねーのー!?っていうかそんなモンより俺が欲しーのは!俺が欲しーのはぁぁぁ…!」なあんて絶叫、したいけど絶対できないから。
結局また、荒々しい吐息だけ残し書店を去るのだ。
週末、近所のTSUTAYAに行った。ウチでゆっくり映画でも観ようと思った。ちょうどその日は旧作100円!という日であったので、懐かしのアレや見逃したコレでも観ようと思った。
で、店内をいろいろ物色していると、早くもアノ!新作が登場してしまっている。俺は俄かに興奮し始め、どうしよ…観たいの全部観てたら、それこそ年越しちゃう…なんて目まぐるしく考える。
しかし映画というヤツは鑑賞する際の己の肉体、および精神状態も重要なポイントである。疲れてる時に、頭使うサスペンスや深刻すぎるドキュメンタリーなど観たくはない。片時も目が離せない!手に汗握る緊迫の展開の中で一時停止し、呑み過ぎてトイレに立ちたくなどない。そしてその日、俺は疲れていた。なるべく、お気楽なヤツがいいなあ。そして次の瞬間!『MILK』も『グラン・トリノ』も押しのけかき分け手にした一本がコレ!
『幼獣マメシバ』−いやああああんかあいいいい(かわいい)!!!プッピイちゃん!ヤダもうそんな目で見ないで!エンゼルちゃん!!と完全に危なっかしいオッサンに変貌してしまい、気付けばカウンターにいた。それでも、最初はこういう動物映画にありがちな可愛さだけのお涙頂戴B級モノと思っていた。まあ今夜はそれでもいいやと。−さにあらず。さにありませんよ、奥さん。コレ。いいよ。めっちゃくっちゃ面白いよ。
ストーリーは、これまで35年の人生において一度も国道を越えたことがない(このヘンの設定が妙にリアルでいいね)という引きこもりニートの主人公が父の死を境に失踪した母親をイヤイヤながらも探しに行く…という、冷静に考えてみれば「別に犬いなくていいじゃん」的話なんだが、そこは絶妙にさまざまな状況が混ざり合って、こちとら釘付けなのである。なにより主役の35歳ニートを演じる佐藤二朗の「怪演」がとにかくイイ!クセになる!皮肉にも、マメシバがぼやけてしまうほどに!そしてやっぱりマメシバは可愛すぎ、どうしようもなく欲しくなってしばらくかなり真剣に考えてしまったんだが、悲しいかな木造モルタル2階建ての我が家はペット禁止なのである。
「…今はガマンだ…我慢しよう……カレンダーで…」
というわけで、意表を突きまくった思わぬ「掘り出し物」に大満足の金曜日の夜だった。コレ、モトはドラマだったんですね、全然知らなかった。ドラマ版も、今度借りてみよう…。しっかしアレだな、35歳で、ニートで引きこもりって設定が、かくも自然な世の中になってしまったんですね…と平日昼間にウチでマミー飲みながら寝転ぶ俺はもうすぐ33歳。ではまた。

↑俺のハートを鷲掴んだ奇跡のナイス・ジャケ!
踊れぼくらの乳酸菌
携帯電話のアラームの音で毎朝目を覚ます。ただでさえ寝つきが悪いタチなので、当然寝起きも悪い。しかし最近のケータイにはスヌーズ機能とやらが付いていて、「寝坊は許さん!断固として許さんぞ!」といった感じで、キッチリ一秒の狂いもなく5分おきにしっかりと、しかも幾度も鳴る。こちとらようやく明け方寝ついたばかりですのに。今朝も今朝とて朝刊カブの音、しっかり聞きましたもの…。
俺はもぞもぞと布団から片方の手だけを出し、そのアラーム機能を解除する。そうして再び眠りの世界に堕ちていきながら、とりあえず本日の予定を思い出す。午前中に書類の整理をして、打ち合わせの準備をして、メシ食って、午後イチで打ち合わせ行って、帰ったら制作して…ブログもそろそろ書かなきゃね……なんて具合に。思い出しながら、まどろみながら、ゆっくり静かに決意する。
「…一時間ずつ、ズラせばいいやあ……」
そうして一時間後、どうにかこうにか布団から身を起こせば、枕元には昨夜の読み止しの『のらくろ小隊長』−パラパラ捲ると次第にガチハマリ、すっかり感化され
「それでは自分もそろそろ任務に取りかかるであります」なんて身を起こしたらばすでに昼前、思えばこういう所が妻からバッサリ
「だからあなたはゼッタイに社会人にはなれないのよ」なんて冷たく言われてしまう所以であるが、それでも起動しない憐れな我が脳味噌はリビングのソファーでとりあえず何より一杯のコーヒーを求めている。
愛用マグにコーヒーを注ぎ、少しだけ砂糖を入れ、よくかき混ぜて牛乳を入れる。思えばこの朝食代わりのコーヒー生活もかれこれ15年以上だ。きちんと朝ゴハン食べるのって旅先とか実家だけだなあ、すっかり貧乏性が染み付いているなあ…とぼんやり一口啜ったところで、
「プギャッ…!!」と素っ頓狂な声をあげてしまったある朝。俺は、一発で目が覚めた。
咄嗟に判断したのは、
「これ・コーヒー・ない」ということだ。それからミルクと間違えて混ぜてしまったものが「森永マミー」であったと理解できるまで20秒くらいかかった。
色も香りもまったく気付かず、だから物凄く驚いた自分に驚くほどのリアクションだったけど、イヤ、マミーは大好きなんだよ、俺。マミー、悪くない。何しろウチでは「マミー之絶対ニ絶ヤスベカラズ」って厳しいオフレを出してるくらい、冷蔵庫には常備してある。俺といえば「ビール」のイメージがどうにも強いが、なあんのお日様のあるうちゃ断然、マミー!もしくは乳酸菌系を好んで飲む。ちなみについでに言うならな、俺ぁプリンよりもゼリーよりも寒天よりも、茶碗蒸しとおんなじぐらいヨーグルトが好きだ。旅先のホテルの朝食バイキングなんかでは、それがひとつのささやかな楽しみでもある。食べるヨーグルトも飲むヨーグルトも置いていないホテルは、なんだかがっかりしてしまう。
ポーランドのある宿ではそれと思い食べてみたら、ヨーグルトとチーズとムースを足して3で割ったようなモノだったが、それはそれで美味しかった。大連のあるホテルではそれと思い食べてみたら、冷めた豆乳粥だった。これは少し悲しかった。
子どもの頃、まだ町にコンビニはなかった。ある夜、家から少し離れた牛乳屋の自販機で買ってもらったマミーの味に、ひどく感動したのを憶えている。
「かあちゃんせかいはすばらしいね!うんでくれてありがと!」
そして現在−マミーのパッケージには、「なつかしの味、かわらぬおいしさ」と書かれている。そう!その通り!なあああんて秀逸なキャッチコピイ!!!なんて言いながら今日もゴクゴク飲んでるんだけどさ、ところで、コレ系飲料ってよく「生きてる乳酸菌」とか「生きて腸に届く」とか書いてるね。踊り食いみたいなもんか。イメージとしては。乳酸菌の、踊り食い。ハハハ。これ、良くね?そうでもね?そうかあ、まあいいや。で、生きて届いて、いつ死ぬん?え?イヤ、だから乳酸菌さ。知らね?そうか、まあいいや、とにかく生きてるってそれだけで素晴らしいモンだからね…ってイヤ、今日のお話はそんなやんごとなきマミー賛歌ではなくてだな、…まあ、いいか、マミー賛歌で…。ではまた。
俺はもぞもぞと布団から片方の手だけを出し、そのアラーム機能を解除する。そうして再び眠りの世界に堕ちていきながら、とりあえず本日の予定を思い出す。午前中に書類の整理をして、打ち合わせの準備をして、メシ食って、午後イチで打ち合わせ行って、帰ったら制作して…ブログもそろそろ書かなきゃね……なんて具合に。思い出しながら、まどろみながら、ゆっくり静かに決意する。
「…一時間ずつ、ズラせばいいやあ……」
そうして一時間後、どうにかこうにか布団から身を起こせば、枕元には昨夜の読み止しの『のらくろ小隊長』−パラパラ捲ると次第にガチハマリ、すっかり感化され
「それでは自分もそろそろ任務に取りかかるであります」なんて身を起こしたらばすでに昼前、思えばこういう所が妻からバッサリ
「だからあなたはゼッタイに社会人にはなれないのよ」なんて冷たく言われてしまう所以であるが、それでも起動しない憐れな我が脳味噌はリビングのソファーでとりあえず何より一杯のコーヒーを求めている。
愛用マグにコーヒーを注ぎ、少しだけ砂糖を入れ、よくかき混ぜて牛乳を入れる。思えばこの朝食代わりのコーヒー生活もかれこれ15年以上だ。きちんと朝ゴハン食べるのって旅先とか実家だけだなあ、すっかり貧乏性が染み付いているなあ…とぼんやり一口啜ったところで、
「プギャッ…!!」と素っ頓狂な声をあげてしまったある朝。俺は、一発で目が覚めた。
咄嗟に判断したのは、
「これ・コーヒー・ない」ということだ。それからミルクと間違えて混ぜてしまったものが「森永マミー」であったと理解できるまで20秒くらいかかった。
色も香りもまったく気付かず、だから物凄く驚いた自分に驚くほどのリアクションだったけど、イヤ、マミーは大好きなんだよ、俺。マミー、悪くない。何しろウチでは「マミー之絶対ニ絶ヤスベカラズ」って厳しいオフレを出してるくらい、冷蔵庫には常備してある。俺といえば「ビール」のイメージがどうにも強いが、なあんのお日様のあるうちゃ断然、マミー!もしくは乳酸菌系を好んで飲む。ちなみについでに言うならな、俺ぁプリンよりもゼリーよりも寒天よりも、茶碗蒸しとおんなじぐらいヨーグルトが好きだ。旅先のホテルの朝食バイキングなんかでは、それがひとつのささやかな楽しみでもある。食べるヨーグルトも飲むヨーグルトも置いていないホテルは、なんだかがっかりしてしまう。
ポーランドのある宿ではそれと思い食べてみたら、ヨーグルトとチーズとムースを足して3で割ったようなモノだったが、それはそれで美味しかった。大連のあるホテルではそれと思い食べてみたら、冷めた豆乳粥だった。これは少し悲しかった。
子どもの頃、まだ町にコンビニはなかった。ある夜、家から少し離れた牛乳屋の自販機で買ってもらったマミーの味に、ひどく感動したのを憶えている。
「かあちゃんせかいはすばらしいね!うんでくれてありがと!」
そして現在−マミーのパッケージには、「なつかしの味、かわらぬおいしさ」と書かれている。そう!その通り!なあああんて秀逸なキャッチコピイ!!!なんて言いながら今日もゴクゴク飲んでるんだけどさ、ところで、コレ系飲料ってよく「生きてる乳酸菌」とか「生きて腸に届く」とか書いてるね。踊り食いみたいなもんか。イメージとしては。乳酸菌の、踊り食い。ハハハ。これ、良くね?そうでもね?そうかあ、まあいいや。で、生きて届いて、いつ死ぬん?え?イヤ、だから乳酸菌さ。知らね?そうか、まあいいや、とにかく生きてるってそれだけで素晴らしいモンだからね…ってイヤ、今日のお話はそんなやんごとなきマミー賛歌ではなくてだな、…まあ、いいか、マミー賛歌で…。ではまた。
クリ健と相棒のもどかしい午後
次作のね、資料を探しておるんです。
もう、夏の終わりからずうっと。主要な書店古書店はほぼ網羅し、時には県外まで、それこそ足を棒にしてね、探し回っておるんです。モチロンネットも駆使しつつ、クリック、健作!略してクリ健!なんて叫びながらね、とにかく探しておるんです。
が…。
…見つからんのです。なかなか。お気に召すヤツが。で、非常にもどかしい日々を過ごしておるんです。
「そうだ!図書館!図書館へ行ってみよう!」 勇んで向かった俺の前に、無情にも立ちふさがった看板にはこう書かれてあった。
『本日は休館日です』−それが、先週月曜日。そうか、月曜は休館日であったか−納得し、そうですか、それではまた日をあらためて…と出直した俺に、無情にも立ちふさがった看板にはまたもやこう書かれてあった。
『本日は休館日です』−今日火曜日じゃん!今日火曜日じゃん! 俺は2回叫んだ。来る途中、もしかしたら連休明けだから…ってうすうす感じてはいたんだけど、今日火曜日じゃん! いくら叫んでみたところで、今日が水曜日になるわけでもない。ましてや「ウソウソ、ちょっと意地悪してみただけよ」と駐車場係のオヤジが愛嬌たっぷりの笑顔で看板避けてくれるなんてあり得ない。なあんかこういう、タイミングの合わない場所ってあるよね…。俺は仕方なく車を走らせた。
事務所へ行くと、「ゆうべまた遅くまで呑んでさあ…」と力なく横たわる相棒の姿があった。ちょうど昼時だったので、メシでも一緒にどうだいと誘い、ふたりで出掛けた。久しぶりのうなぎ屋を目指した。その店に初めて行く相棒は、助手席で子どものようなはしゃぎっぷり。
「♪ああーむえっぐまーん、ふー!ああーむえっぐまーん、ひゅー!」 ちょうどスピーカーから流れていた『I AM THE WALRUS』を熱唱。さっきまでこのヒト、失敗した泥人形のようにグタァっとしてましたのに。
10分ほどで到着した俺たちの前に、非情にも立ちふさがった灰色のシャッターにはこう書かれてあった。
『本日定休日』−しかし俺はへこたれない。悔しがる相棒に「泣くな!涙を拭いて立ち上がり、前に進むのだ!」と叱咤激励し、再び車に乗り込む。俺には別の「打つべき手」があった。秘策があった。この近くに住む友人宅の向かいに最近新しく出来たお店もまたうなぎ屋であったコト、俺、ちゃあんとチェックしてたんだぁ…。
更に車を走らす。車中、今朝の図書館の顛末を話しながら。
「でも、そういう日ってあるよねぇ。何してもうまくいかない日って。俺なんかさあ、こないだビデオ屋行って、40分かけて選んだのに、いざ借りようと思ったらカード忘れててさあ。仕方なくそのDVDを棚に戻して、家にカード取りに帰って。でもそれを俺はポジティブに考えてね、やっぱり別の店に行くことにして、今度はカードもきちんと持ってね、また40分くらいかけて吟味して選んで、さあ借りようと思ったら、カードの有効期限が切れててさあ。身分証明書が要るって言われて。持ってなくて…」
「そうね、運転免許持ち歩いてなかったらアンタの身分をどうにか証明できるものって雰囲気くらいしかないわね…俺より俺らしいヤツがいてたまるか!とかなんとか言いながら…」 バカな会話はとめどなく、ほどなくたどり着いた俺たちの前に、薄情にもはためく貼り紙には、赤マジックでこう書かれてあった。
『作業中 注意』−店休日どころかオープンしてねえ!店休日どころかオープンしてねえ! 俺は2回叫んだ。隣の場末感ムキダシのスナックを指差し、
「水割りでも呑んでいく?」と相棒が言った。
三度、車に乗り込む。ひもじい…ひもじいよう、母ちゃん。大のオトナがふたりも揃ってシゴトもせんと、平日昼間の虚しいドライブは続く。
「♪あいらぃっとぅびー、あんだーざしー…」 今度は『OCTOPUS’S GARDEN』を口ずさんでいた相棒、突然ピタッと歌をやめ、
「あいどらいくとぅーびー…あんだーざしー…」とつぶやき、少し間を置いて、
「…わたしは海の下に行きたいです」 すかさず俺、
「…そっかあ?もうアレか?いっそ捕まえちゃうか?ウナギ?よーっしゃぁぁぁ…!!」
…大きくハンドルを切り、嗚呼もうなんだか本当に、このままふたり、車で突っ込んじゃおうかしら、海に。
もう、夏の終わりからずうっと。主要な書店古書店はほぼ網羅し、時には県外まで、それこそ足を棒にしてね、探し回っておるんです。モチロンネットも駆使しつつ、クリック、健作!略してクリ健!なんて叫びながらね、とにかく探しておるんです。
が…。
…見つからんのです。なかなか。お気に召すヤツが。で、非常にもどかしい日々を過ごしておるんです。
「そうだ!図書館!図書館へ行ってみよう!」 勇んで向かった俺の前に、無情にも立ちふさがった看板にはこう書かれてあった。
『本日は休館日です』−それが、先週月曜日。そうか、月曜は休館日であったか−納得し、そうですか、それではまた日をあらためて…と出直した俺に、無情にも立ちふさがった看板にはまたもやこう書かれてあった。
『本日は休館日です』−今日火曜日じゃん!今日火曜日じゃん! 俺は2回叫んだ。来る途中、もしかしたら連休明けだから…ってうすうす感じてはいたんだけど、今日火曜日じゃん! いくら叫んでみたところで、今日が水曜日になるわけでもない。ましてや「ウソウソ、ちょっと意地悪してみただけよ」と駐車場係のオヤジが愛嬌たっぷりの笑顔で看板避けてくれるなんてあり得ない。なあんかこういう、タイミングの合わない場所ってあるよね…。俺は仕方なく車を走らせた。
事務所へ行くと、「ゆうべまた遅くまで呑んでさあ…」と力なく横たわる相棒の姿があった。ちょうど昼時だったので、メシでも一緒にどうだいと誘い、ふたりで出掛けた。久しぶりのうなぎ屋を目指した。その店に初めて行く相棒は、助手席で子どものようなはしゃぎっぷり。
「♪ああーむえっぐまーん、ふー!ああーむえっぐまーん、ひゅー!」 ちょうどスピーカーから流れていた『I AM THE WALRUS』を熱唱。さっきまでこのヒト、失敗した泥人形のようにグタァっとしてましたのに。
10分ほどで到着した俺たちの前に、非情にも立ちふさがった灰色のシャッターにはこう書かれてあった。
『本日定休日』−しかし俺はへこたれない。悔しがる相棒に「泣くな!涙を拭いて立ち上がり、前に進むのだ!」と叱咤激励し、再び車に乗り込む。俺には別の「打つべき手」があった。秘策があった。この近くに住む友人宅の向かいに最近新しく出来たお店もまたうなぎ屋であったコト、俺、ちゃあんとチェックしてたんだぁ…。
更に車を走らす。車中、今朝の図書館の顛末を話しながら。
「でも、そういう日ってあるよねぇ。何してもうまくいかない日って。俺なんかさあ、こないだビデオ屋行って、40分かけて選んだのに、いざ借りようと思ったらカード忘れててさあ。仕方なくそのDVDを棚に戻して、家にカード取りに帰って。でもそれを俺はポジティブに考えてね、やっぱり別の店に行くことにして、今度はカードもきちんと持ってね、また40分くらいかけて吟味して選んで、さあ借りようと思ったら、カードの有効期限が切れててさあ。身分証明書が要るって言われて。持ってなくて…」
「そうね、運転免許持ち歩いてなかったらアンタの身分をどうにか証明できるものって雰囲気くらいしかないわね…俺より俺らしいヤツがいてたまるか!とかなんとか言いながら…」 バカな会話はとめどなく、ほどなくたどり着いた俺たちの前に、薄情にもはためく貼り紙には、赤マジックでこう書かれてあった。
『作業中 注意』−店休日どころかオープンしてねえ!店休日どころかオープンしてねえ! 俺は2回叫んだ。隣の場末感ムキダシのスナックを指差し、
「水割りでも呑んでいく?」と相棒が言った。
三度、車に乗り込む。ひもじい…ひもじいよう、母ちゃん。大のオトナがふたりも揃ってシゴトもせんと、平日昼間の虚しいドライブは続く。
「♪あいらぃっとぅびー、あんだーざしー…」 今度は『OCTOPUS’S GARDEN』を口ずさんでいた相棒、突然ピタッと歌をやめ、
「あいどらいくとぅーびー…あんだーざしー…」とつぶやき、少し間を置いて、
「…わたしは海の下に行きたいです」 すかさず俺、
「…そっかあ?もうアレか?いっそ捕まえちゃうか?ウナギ?よーっしゃぁぁぁ…!!」
…大きくハンドルを切り、嗚呼もうなんだか本当に、このままふたり、車で突っ込んじゃおうかしら、海に。




