ゾロ目の夜の銀河
近所のTSUTAYAへ行くと、店内中央になにやら人ごみ。覗き見ると、レンタル・アップのCDを袋詰め放題でなんと500円!ってなんだか夢のようなワゴンセールをやっている。
スーパーとかでよくやってますね。ジャガイモ詰め放題!なんて。で、そこへ群がるオバサン共は、一体どれだけ食うんだイモを、ってくらいにこう、袋とかキイィッて伸ばしてね、あらかじめ少しでも体積大きくしようと、そんな光景眺める度に、俺は思っていたんだ。
「なんとなくヤだなあ、こういうヒトにはなりたくないなあ…」と。
で、その日その場でね、ふうん、なんて思いながら何気にワゴンを見やると、結構、あるんだ。俺好みなやつ。で、ふと我に返ったら、やってましたね。俺も。キイィッて。瞬時にスーパーのオバサン化し、「卑しかろうがなんだろうがいいんだかんね!あたしゃ!かまうもんか!」と完全に居直り、目を皿のように選んでいる。
さらによく見ると、『袋が破れたらアウト!』という注意書きがあった。実際その袋を取ってみると、明らかにアルバム3枚ほどしか入らない。無理して4枚。はは〜ん、そういうコトか…と。3枚・500円ではパンチが弱い。いっそ詰め放題って書いてさ、どうせ3枚くらいしか入んない袋用意して、どうですか、店長?今度の週末!なんていう店側の目論見を俺は急速に理解し、そして、燃えた。
「やってやろうじゃないか!」
−結局、3枚しか入らない袋に、8枚突っ込んだ。しかも4枚は、袋の入口から半分以上はみでてる。
いざ、勝負!
カウンターのおねえちゃんは、袋見るなり、うわあ、困った!という顔をした。案の定、
「コレ、ちょっと、はみ出過ぎてますので…」などと言う。俺は怯まない。
「まあそんな固いことおっしゃらず」 あくまでジェントルメン気取り。
「せめてこの半分…」 困惑の店員。
「と、言いたいところだが!?」 あくまでも粘る俺。
「イヤしかしこれはさすがに…」 ここが勝負と見て取った俺、すかさず仕掛ける。
「じゃあこうしよう!2枚減らすよ」 そうして実に素早く、候補として含んではいたが重要度はさほど高くないマキシシングル2枚を抜く。
「わかりました。じゃあコレで…」 俺は勝った。オトナの駆け引きというやつだ。こうして俺は、あんな名盤こんな名盤、つまりはジョンやポールやチッコリやジャニジョプやコステロやシェリクロなどの名盤の数々を、わずか500円で手に入れることが出来た。
非常に満足し、店をあとにした。さて次にコレを、無性に誰かに自慢したくなった。
そんな時、行き先は決まっている。
六本松基地へ行くと、黙々と制作に勤しむ相棒。ズバリ、彼ガカモデス。
袋を見るなり、
「うわぁ〜、いいなぁ〜、モックン、いいなぁ〜」 こちらが望んだ通りのリアクションを見せる彼。
「…フフフ、勝ったのだよ、俺はね…」 俺はさらに満足し、相棒を連れ出した。それを聴きながら食材を買いに行き、なんだか気分が良いので奮発し、最近ハマっている『琥珀エビス』の6缶パックを買った。
その夜、我が家では気温の低下と共に極端に増えてしまう、通称「またしても鍋」をこしらえ、それを肴に大いに呑んだ。6缶パックなど瞬く間になくなり、もの足りない発泡酒へ移行して、間に中国酒などをはさんで、かなり呑んだ。
スピーカーからは、買ったばかりのチック・コリアの『銀河の輝映』−気付けば俺たちはまたしても、どっしり座ったうつろな瞳でいい気持ち。ハッパや注射器に頼ることなく、数百円のCDと数百円の酒でトリップできるんだから安いもんだ。
「はぁぁぁ、いいねぇ…銀河の輝映が見えるねえぇぇ…」
−そうしてその晩、気付けば33になっていた。彼方の銀河を眺めつつ、
「あああ!生きるって、楽しいなぁ!」と、心から思った。ではまた。
スーパーとかでよくやってますね。ジャガイモ詰め放題!なんて。で、そこへ群がるオバサン共は、一体どれだけ食うんだイモを、ってくらいにこう、袋とかキイィッて伸ばしてね、あらかじめ少しでも体積大きくしようと、そんな光景眺める度に、俺は思っていたんだ。
「なんとなくヤだなあ、こういうヒトにはなりたくないなあ…」と。
で、その日その場でね、ふうん、なんて思いながら何気にワゴンを見やると、結構、あるんだ。俺好みなやつ。で、ふと我に返ったら、やってましたね。俺も。キイィッて。瞬時にスーパーのオバサン化し、「卑しかろうがなんだろうがいいんだかんね!あたしゃ!かまうもんか!」と完全に居直り、目を皿のように選んでいる。
さらによく見ると、『袋が破れたらアウト!』という注意書きがあった。実際その袋を取ってみると、明らかにアルバム3枚ほどしか入らない。無理して4枚。はは〜ん、そういうコトか…と。3枚・500円ではパンチが弱い。いっそ詰め放題って書いてさ、どうせ3枚くらいしか入んない袋用意して、どうですか、店長?今度の週末!なんていう店側の目論見を俺は急速に理解し、そして、燃えた。
「やってやろうじゃないか!」
−結局、3枚しか入らない袋に、8枚突っ込んだ。しかも4枚は、袋の入口から半分以上はみでてる。
いざ、勝負!
カウンターのおねえちゃんは、袋見るなり、うわあ、困った!という顔をした。案の定、
「コレ、ちょっと、はみ出過ぎてますので…」などと言う。俺は怯まない。
「まあそんな固いことおっしゃらず」 あくまでジェントルメン気取り。
「せめてこの半分…」 困惑の店員。
「と、言いたいところだが!?」 あくまでも粘る俺。
「イヤしかしこれはさすがに…」 ここが勝負と見て取った俺、すかさず仕掛ける。
「じゃあこうしよう!2枚減らすよ」 そうして実に素早く、候補として含んではいたが重要度はさほど高くないマキシシングル2枚を抜く。
「わかりました。じゃあコレで…」 俺は勝った。オトナの駆け引きというやつだ。こうして俺は、あんな名盤こんな名盤、つまりはジョンやポールやチッコリやジャニジョプやコステロやシェリクロなどの名盤の数々を、わずか500円で手に入れることが出来た。
非常に満足し、店をあとにした。さて次にコレを、無性に誰かに自慢したくなった。
そんな時、行き先は決まっている。
六本松基地へ行くと、黙々と制作に勤しむ相棒。ズバリ、彼ガカモデス。
袋を見るなり、
「うわぁ〜、いいなぁ〜、モックン、いいなぁ〜」 こちらが望んだ通りのリアクションを見せる彼。
「…フフフ、勝ったのだよ、俺はね…」 俺はさらに満足し、相棒を連れ出した。それを聴きながら食材を買いに行き、なんだか気分が良いので奮発し、最近ハマっている『琥珀エビス』の6缶パックを買った。
その夜、我が家では気温の低下と共に極端に増えてしまう、通称「またしても鍋」をこしらえ、それを肴に大いに呑んだ。6缶パックなど瞬く間になくなり、もの足りない発泡酒へ移行して、間に中国酒などをはさんで、かなり呑んだ。
スピーカーからは、買ったばかりのチック・コリアの『銀河の輝映』−気付けば俺たちはまたしても、どっしり座ったうつろな瞳でいい気持ち。ハッパや注射器に頼ることなく、数百円のCDと数百円の酒でトリップできるんだから安いもんだ。
「はぁぁぁ、いいねぇ…銀河の輝映が見えるねえぇぇ…」
−そうしてその晩、気付けば33になっていた。彼方の銀河を眺めつつ、
「あああ!生きるって、楽しいなぁ!」と、心から思った。ではまた。
ストレンジャー −女子大学祭哀愁編−
前日とはうって変わって晴れ間が拡がる本日、早くも最終日の「出勤」に、スピーカーからこぼれるのはビリー・ジョエルの名盤『ストレンジャー』。
アルバム・タイトルにもなっている、この曲の例のイントロの口笛を助手席の相棒が器用に真似る。時折混じるビブラートも完璧なコピっぷり。
相棒は、口笛が上手い。
ついでに言えば、「ホーミー」というどっかの民族のノド笛も上手い。
ああ、いっそ…私は思う。ああいっそ、このヒト「楽器」として生まれてたなら、もっと重宝されたでしょうに…。額に『Marshall』(アンプのメーカー)のようなロゴで『Masaru』って書いて…なんて運転しながらひとりニヤけていたら、
「…しかしこの口笛のメロディーは本当に、『ヨソ者』の郷愁をよく表しているよねぇ…」と相棒。
「…思えば遠くへ来ちまったもんだなぁ、みたいな…」と俺。お互い地元からさして遠くもないこの町にあって、完全に「ヨソ者(ストレンジャー)」なこのふたり。
「しかしこの曲はアレね、口笛イントロが終わるとガラッと雰囲気変わるね」
「吹っ切れたんだ。旅人が。ヨソの町で。もういいや、旅の恥はかき捨てって言うし!なんて」
「ギャハハハハ!!」なんて言いながら、名曲をビリーそっちのけで勝手に解釈、車は進む。
※家に帰ってあらためて歌詞カードを見てみたら、この曲は自分の姿を装いながら都会で生活する男女のことを歌っているということが判明。すまん、ビリー。
それはさておき、最終日。本日は嵐のあとの晴天に祝日であることも手伝って、あの方この方と多くのご来場をいただいた。
昨年知り合った軽音楽部のベーシスト・YとドラマーのMは、一年ですっかりしっかりオトナっぽくなっていて驚いた。学祭での楽しみのひとつはこういった「一年ぶりの再会」である。昨年、俺もドラムを叩いていると話したら素早く意気投合し、そのうち一緒にジャムろうなどと盛り上がった。だが、その頃俺は実はもう楽器などほとんど触っていない日々で、しばらく後、俺は部屋の半分を占拠するドラムセットを眺めつつ、もう今後コレを真剣に叩く機会などないだろうな…と考えながら、それらの一部を叩き売ってしまった。まるでギャグのような実話だが、その晩、ある友人から「バンドを手伝って欲しい」なんて誘われ、結局今年の春には10数年ぶりのライブを経験し、現在も二週に一度の練習に通っている。一年という期間に、こういうドラマもあったんだよ、と話すと、Yは
「ぜんぶ知ってますよ、ブログ見てますから」と言って笑った。
彼女たちのご希望の「ベースを弾くくまちゃん」と「ドラムを叩くくまちゃん」を描いていたら、別の学生たちに
「うわあ絵ぇチョーうまいッスねー」と言われた。
「へへへ、ありがとう…」なんて答えながら、俺はハタと気付いた。一年に一度しか訪れないこの場所で、彼女らの若さは永遠だが、俺たちゃあ確実に老けている。相棒と顔を見合わせ、
「…年々高まるね、俺たちの『不審者』度…」
「…まさにストレンジャー……」
相棒が、例のイントロを口笛で吹き始めた。口笛が上手でない俺は、切なくなって鼻唄で応えた。
♪トゥルルル〜ルルルルぅぅぅ……。
と、ここまで学園祭の3日間を無駄に引っ張り三部作にまとめていた11月某日。
俺にとっては超ド級の衝撃走る!
『S・タイラー、エアロスミスを脱退!バンドは後任を募集中!』−なんだと!なかなかニュー・アルバム出ねぇと思ってたら…なんだと!マジで?ショック!俺、ショックよ!
S・タイラーもまた、S・タイラーという声を持つ唯一無二の「楽器」である。彼の代わりなど見つかる筈もなく、彼以外の歌うバンドはもはやエアロスミスではない。
そうだ!スティーヴンのいないエアロなんて、カツがのってないカツ丼だ(つまりはタマゴ丼)!肉の入ってない肉まんだ(つまりはただの蒸し饅頭)!−思わずP・ロジャース加入後のQUEENを思い出してしまった。
それにしてもスティーヴン、60過ぎてなお「ソロ活動に専念したい」だなんて…。
栄光と名声に寄りかかることなく、あくまでもアグレッシヴに…まあ、そういうところに惚れてるんだけど………。彼もまた、長年のバンド活動で、次第にストレンジャーと化したのか…。
アルバム・タイトルにもなっている、この曲の例のイントロの口笛を助手席の相棒が器用に真似る。時折混じるビブラートも完璧なコピっぷり。
相棒は、口笛が上手い。
ついでに言えば、「ホーミー」というどっかの民族のノド笛も上手い。
ああ、いっそ…私は思う。ああいっそ、このヒト「楽器」として生まれてたなら、もっと重宝されたでしょうに…。額に『Marshall』(アンプのメーカー)のようなロゴで『Masaru』って書いて…なんて運転しながらひとりニヤけていたら、
「…しかしこの口笛のメロディーは本当に、『ヨソ者』の郷愁をよく表しているよねぇ…」と相棒。
「…思えば遠くへ来ちまったもんだなぁ、みたいな…」と俺。お互い地元からさして遠くもないこの町にあって、完全に「ヨソ者(ストレンジャー)」なこのふたり。
「しかしこの曲はアレね、口笛イントロが終わるとガラッと雰囲気変わるね」
「吹っ切れたんだ。旅人が。ヨソの町で。もういいや、旅の恥はかき捨てって言うし!なんて」
「ギャハハハハ!!」なんて言いながら、名曲をビリーそっちのけで勝手に解釈、車は進む。
※家に帰ってあらためて歌詞カードを見てみたら、この曲は自分の姿を装いながら都会で生活する男女のことを歌っているということが判明。すまん、ビリー。
それはさておき、最終日。本日は嵐のあとの晴天に祝日であることも手伝って、あの方この方と多くのご来場をいただいた。
昨年知り合った軽音楽部のベーシスト・YとドラマーのMは、一年ですっかりしっかりオトナっぽくなっていて驚いた。学祭での楽しみのひとつはこういった「一年ぶりの再会」である。昨年、俺もドラムを叩いていると話したら素早く意気投合し、そのうち一緒にジャムろうなどと盛り上がった。だが、その頃俺は実はもう楽器などほとんど触っていない日々で、しばらく後、俺は部屋の半分を占拠するドラムセットを眺めつつ、もう今後コレを真剣に叩く機会などないだろうな…と考えながら、それらの一部を叩き売ってしまった。まるでギャグのような実話だが、その晩、ある友人から「バンドを手伝って欲しい」なんて誘われ、結局今年の春には10数年ぶりのライブを経験し、現在も二週に一度の練習に通っている。一年という期間に、こういうドラマもあったんだよ、と話すと、Yは
「ぜんぶ知ってますよ、ブログ見てますから」と言って笑った。
彼女たちのご希望の「ベースを弾くくまちゃん」と「ドラムを叩くくまちゃん」を描いていたら、別の学生たちに
「うわあ絵ぇチョーうまいッスねー」と言われた。
「へへへ、ありがとう…」なんて答えながら、俺はハタと気付いた。一年に一度しか訪れないこの場所で、彼女らの若さは永遠だが、俺たちゃあ確実に老けている。相棒と顔を見合わせ、
「…年々高まるね、俺たちの『不審者』度…」
「…まさにストレンジャー……」
相棒が、例のイントロを口笛で吹き始めた。口笛が上手でない俺は、切なくなって鼻唄で応えた。
♪トゥルルル〜ルルルルぅぅぅ……。
と、ここまで学園祭の3日間を無駄に引っ張り三部作にまとめていた11月某日。
俺にとっては超ド級の衝撃走る!
『S・タイラー、エアロスミスを脱退!バンドは後任を募集中!』−なんだと!なかなかニュー・アルバム出ねぇと思ってたら…なんだと!マジで?ショック!俺、ショックよ!
S・タイラーもまた、S・タイラーという声を持つ唯一無二の「楽器」である。彼の代わりなど見つかる筈もなく、彼以外の歌うバンドはもはやエアロスミスではない。
そうだ!スティーヴンのいないエアロなんて、カツがのってないカツ丼だ(つまりはタマゴ丼)!肉の入ってない肉まんだ(つまりはただの蒸し饅頭)!−思わずP・ロジャース加入後のQUEENを思い出してしまった。
それにしてもスティーヴン、60過ぎてなお「ソロ活動に専念したい」だなんて…。
栄光と名声に寄りかかることなく、あくまでもアグレッシヴに…まあ、そういうところに惚れてるんだけど………。彼もまた、長年のバンド活動で、次第にストレンジャーと化したのか…。
イージー・ライダー −女子大学祭奮闘編−
学園祭二日目、今日の「招かれざる客」はズバリ寒波であった。
起き抜けの寝ぼけまなこにまとわりついてくる寒さが辛い。学園祭期間中は相棒共々俺の実家に泊まるのだが、相棒は俺の家族とも自然過ぎるくらいの仲の良さで、ドアを開けるなり「ただいまぁ」と言うほどだ。
ちゃぶ台に、祖母が握ってくれたおにぎりがある。それを頬張り、いざ出陣。
本日の車内BGMは引き続きザ・バーズのアルバム『イージー・ライダー』である。コレは俺がレコード店員だった頃に買ったもので、当時はあまり感情移入できなかった。
「俺、ステッペンウルフの『BORN TO BE WILD』が欲しかったんだ。当時は曲だけ知ってて、歌手名とかわかんなくて。とりあえず買ったら、想像とは違うユルいフォーク・ロックでね、当時はガッカリしたなぁ…今は大好きだけどね」
「でも、そういう、時を経ていきなりフィットする音楽ってあるねぇ。オトナになってようやく理解できました!というか。映画でも小説でもあるね」
スピーカーから流れ出るあくまでもロードムービーのサントラ然とした壮大かつ悠然としたメロディーに旅情を掻き立てられ、ふたりは口々につぶやいた。
「ああ…どっか行きたい…」
その後、急に黙りこくって遠くを見つめ、フウとため息をつく助手席の相棒。
「…ダメだ、ダメだった」
「…なにが?」
「今ね、この風景を見ながら『オーストラリアにいるつもり』になろうとしたんだけど…」
…そりゃそうだろう…。空は鉛色の高曇り、おまけに目の前のお店にゃ思いっきり派手な日本語で『ヴィレッジ倶楽部』って書いてるぜ…。しかし彼の気持ちはわかる。俺もよくああこの町は○○に雰囲気がよく似てるななんて感じ、その時の自分を夢想したりするからだ。
程なく、学校へ到着。すれ違うみんなと
「おはようございます。今日は特に寒いですね…」なんて言い合うが、明らかに俺たちの方が着ぶくれしているのだ。学生たちは寒いと言いながらも長袖Tシャツで走り回ったりして、なんとなく悔しいのである。
風が、俺たちに向かってひっきりなしに吹いている。時々、突風。
こういう屋外イベントの場合、シンドイのは雨より風である。この意見に相棒は同感だと大きく頷いた。考えてみれば彼とのあちこちドサまわり巡業の歴史も長いが、なかには横殴りまさかの元旦大豪雪や、不意打ち闇討ちスコール的大粒豪雨なんてのも経験してきた。俺は「絵」という紙ものメインだから、あっという間に滲んで原型から離れていく作品を見つめつつ「オイオイ!どんどん濃くなっちゃうよ!落胆という色が!」なんて冗談飛ばしたりもしたんだが、そんな雨雪を一撃必殺のカウンターパンチに例えるならば、始終吹きつける風はジワジワ効いてくるジャブである。
すでにかじかむ手を擦りつつ、さあやっと設置が終わったわ、こんな天気だけど頑張らなきゃ…っていってるところにイタズラな突風、重石ごと、ぜえんぶ吹き飛ばしちゃう。
ナニモノか、彼方の空に光るものアリ…なんてよく見ると、そりゃ俺のポストカードだぁ!と慌てて追いかけたりする。しばらくは設置→突風→また設置という不毛な繰り返しを余儀なくされるんだが、次第にもうどうでもよくなってくる。風というやつは、確実にこちらの体力を奪い、戦意を喪失させてくる。 相棒の机などすでに敷物は捲れあがりすべての木彫り人形が横倒れに倒れていて、なんだか失敗したかくし芸のごとき有様だ。
昨日に引き続いてのモー娘。が、なんだか今日は遠くの子守唄のように聴こえる…。
…寒い、寒いよう、かあちゃん……。
「寝るな!寝たら死ぬぞ!!」的叱咤激励ふうに突如吹き荒れたのはまさかのヒョウ。動物じゃねえよ、空から降ってくるみぞれみたいなあられみたいなヤツね。
えー、本日11月2日月曜日…一昨日まで確かに俺、Tシャツ一枚で車にゃエアコンいれてましたが……なんて事実ももはや悪い冗談かタチの悪いドッキリか幻のよう。
…どうしようもない。どうしようもないなあ…今日はチョイと早めに畳むか…なんて当然の如き「逃げの心理」が脳内にチラつくが、いんや!そんな弱腰じゃあ毎年呼んでくれる生徒さんたちに申し訳が立たねえ!とあくまでも現役続行にこだわり過ぎて完全に引退のタイミングを逃してしまった藤波のような闘志で俺たちは居座り続ける。
時折ココアとじゃがバターに癒されながら、すっかり日も暮れた午後6時。ふいに訪れた見知らぬ母と小さな姉弟。女の子は首にぶらさげたピンクのがま口からしわくちゃの千円札を引っ張り出し、ポストカードくださいと言った。
「嗚呼、すべてが報われた瞬間よ!!!」
学祭の夜は、相棒と近くのスパで一汗流すのが恒例になっている。泊りがけで遠方のイベントに参加する時は決まってその土地の銭湯や温泉を探すのが、ささやかな贅沢、楽しみでもある。
出会った頃はやせ細っていた俺たちも、今や進化を途中でやめちゃった猿人のような体型になってしまったが、芯まで冷え切ったその身体でいつもより長めに浸かった露天風呂から雲の間に見え隠れする今宵は満月でありました。
起き抜けの寝ぼけまなこにまとわりついてくる寒さが辛い。学園祭期間中は相棒共々俺の実家に泊まるのだが、相棒は俺の家族とも自然過ぎるくらいの仲の良さで、ドアを開けるなり「ただいまぁ」と言うほどだ。
ちゃぶ台に、祖母が握ってくれたおにぎりがある。それを頬張り、いざ出陣。
本日の車内BGMは引き続きザ・バーズのアルバム『イージー・ライダー』である。コレは俺がレコード店員だった頃に買ったもので、当時はあまり感情移入できなかった。
「俺、ステッペンウルフの『BORN TO BE WILD』が欲しかったんだ。当時は曲だけ知ってて、歌手名とかわかんなくて。とりあえず買ったら、想像とは違うユルいフォーク・ロックでね、当時はガッカリしたなぁ…今は大好きだけどね」
「でも、そういう、時を経ていきなりフィットする音楽ってあるねぇ。オトナになってようやく理解できました!というか。映画でも小説でもあるね」
スピーカーから流れ出るあくまでもロードムービーのサントラ然とした壮大かつ悠然としたメロディーに旅情を掻き立てられ、ふたりは口々につぶやいた。
「ああ…どっか行きたい…」
その後、急に黙りこくって遠くを見つめ、フウとため息をつく助手席の相棒。
「…ダメだ、ダメだった」
「…なにが?」
「今ね、この風景を見ながら『オーストラリアにいるつもり』になろうとしたんだけど…」
…そりゃそうだろう…。空は鉛色の高曇り、おまけに目の前のお店にゃ思いっきり派手な日本語で『ヴィレッジ倶楽部』って書いてるぜ…。しかし彼の気持ちはわかる。俺もよくああこの町は○○に雰囲気がよく似てるななんて感じ、その時の自分を夢想したりするからだ。
程なく、学校へ到着。すれ違うみんなと
「おはようございます。今日は特に寒いですね…」なんて言い合うが、明らかに俺たちの方が着ぶくれしているのだ。学生たちは寒いと言いながらも長袖Tシャツで走り回ったりして、なんとなく悔しいのである。
風が、俺たちに向かってひっきりなしに吹いている。時々、突風。
こういう屋外イベントの場合、シンドイのは雨より風である。この意見に相棒は同感だと大きく頷いた。考えてみれば彼とのあちこちドサまわり巡業の歴史も長いが、なかには横殴りまさかの元旦大豪雪や、不意打ち闇討ちスコール的大粒豪雨なんてのも経験してきた。俺は「絵」という紙ものメインだから、あっという間に滲んで原型から離れていく作品を見つめつつ「オイオイ!どんどん濃くなっちゃうよ!落胆という色が!」なんて冗談飛ばしたりもしたんだが、そんな雨雪を一撃必殺のカウンターパンチに例えるならば、始終吹きつける風はジワジワ効いてくるジャブである。
すでにかじかむ手を擦りつつ、さあやっと設置が終わったわ、こんな天気だけど頑張らなきゃ…っていってるところにイタズラな突風、重石ごと、ぜえんぶ吹き飛ばしちゃう。
ナニモノか、彼方の空に光るものアリ…なんてよく見ると、そりゃ俺のポストカードだぁ!と慌てて追いかけたりする。しばらくは設置→突風→また設置という不毛な繰り返しを余儀なくされるんだが、次第にもうどうでもよくなってくる。風というやつは、確実にこちらの体力を奪い、戦意を喪失させてくる。 相棒の机などすでに敷物は捲れあがりすべての木彫り人形が横倒れに倒れていて、なんだか失敗したかくし芸のごとき有様だ。
昨日に引き続いてのモー娘。が、なんだか今日は遠くの子守唄のように聴こえる…。
…寒い、寒いよう、かあちゃん……。
「寝るな!寝たら死ぬぞ!!」的叱咤激励ふうに突如吹き荒れたのはまさかのヒョウ。動物じゃねえよ、空から降ってくるみぞれみたいなあられみたいなヤツね。
えー、本日11月2日月曜日…一昨日まで確かに俺、Tシャツ一枚で車にゃエアコンいれてましたが……なんて事実ももはや悪い冗談かタチの悪いドッキリか幻のよう。
…どうしようもない。どうしようもないなあ…今日はチョイと早めに畳むか…なんて当然の如き「逃げの心理」が脳内にチラつくが、いんや!そんな弱腰じゃあ毎年呼んでくれる生徒さんたちに申し訳が立たねえ!とあくまでも現役続行にこだわり過ぎて完全に引退のタイミングを逃してしまった藤波のような闘志で俺たちは居座り続ける。
時折ココアとじゃがバターに癒されながら、すっかり日も暮れた午後6時。ふいに訪れた見知らぬ母と小さな姉弟。女の子は首にぶらさげたピンクのがま口からしわくちゃの千円札を引っ張り出し、ポストカードくださいと言った。
「嗚呼、すべてが報われた瞬間よ!!!」
学祭の夜は、相棒と近くのスパで一汗流すのが恒例になっている。泊りがけで遠方のイベントに参加する時は決まってその土地の銭湯や温泉を探すのが、ささやかな贅沢、楽しみでもある。
出会った頃はやせ細っていた俺たちも、今や進化を途中でやめちゃった猿人のような体型になってしまったが、芯まで冷え切ったその身体でいつもより長めに浸かった露天風呂から雲の間に見え隠れする今宵は満月でありました。
霧の5次元 −女子大学祭潜入編−
好きな音楽でも共鳴する部分が多い相棒と俺。だから彼との長距離移動は車中の音楽も楽しみのひとつである。
初日の朝。相棒のチョイスはザ・バーズの『霧の5次元』だった。彼がこないだ思わずジャケ買いしてしまったというその一枚は、俺も聴いたことがなかったので胸が躍った。
起き抜けにテンションの低い俺たちふたりは、スピーカーから流れる軽快なメロディーによってようやく暖まってくる。気温は低いが、気持ちが良い秋晴れの朝である。
「Fifth Dimension…ディメンション… 」 助手席でジャケットを見ながらつぶやく相棒。
「どうしたの?」と俺。
「コレ、『霧』っていう単語はないんよねぇ。原題の『Fifth Dimension』はただ『5次元』って意味なんだ。でもなんで邦題は『霧の5次元』なんだろう…」
「ビートルズの『涙の乗車券』みたいなもんだよ。アレも原題は『Ticket to Ride』だけど、邦題には『涙』が付くでしょう」−俺は、我ながら良い返答だな、と思いながらアクセルを踏んだ。
「まあ何にせよ、当時の邦題を付ける人のセンスは最高だなぁ…」 結局、『霧』問題は何一つ解決していないのだが、なんとなく納得してくれた相棒。しかしコレを聴きながら行くと、正に霧の5次元へトリップしてしまいそうな感覚へ陥ってしまうが、通り慣れた道を走る我々は迷うことなく目的地へと到着する。
本日から、俺たちが「年間を通じてもっともテンションが上がる3日間」である、九州女子大学学園祭での出展なのだ。
毎年、我々のブースは正面玄関からまっすぐ進んでトンネルを抜けた先の売店の横っちょに設営する。学園祭は校内だけでなく一般にも開放されているので、「女子大だぁ!」と鼻息荒げて勇んで来るオッサンなどは、いきなり前方右側におんなじように物騒なカオしたオッサンふたりが並んでいる画に驚くだろう。
学園祭だけあってあちこちに模擬店が作られ、おでんやお菓子など売っている。フツーの祭りと違うのはこれらすべてが学生の手作りで、実にしみじみと美味しいのである。
「…いかがですかぁ…」の声に、自分たちのブースの設営もまだ済んでねぇうちから早くも本分を忘れ祭りムードに呑まれ、
「…いいなぁ、やっぱり学祭はいいなぁ…で…なに食う?」などと盛り上がるだらしないオヤジふたり。
我々の向かいは昨年まではソフトボール部の学生たちがはし巻きを売っていたのだが、今年は初等教育科のじゃがバター屋さんに変わっていた。そのテントはBGMでモーニング娘。のCDを大音量で鳴らしている。つい先程までオッサンのオッサンによるオッサンのためのロックにどっぷり浸りここまでやって来た私らとしては、芋焼酎が欲しいのにミルクセーキが出てきたような、なんだか落ち着かない気分に陥るが、郷に入らば郷に従えである。何人たりともここでボブ・ディランのシワガレ声など望んではナラヌのだ!
で、結局、その状況に二時間もすればすっかり慣れた。終いにゃふたり、気付けば口ずさみ、口笛を吹く。無意識にリズムをとり、歌詞まで覚えちゃった。
ふと木彫りの手を休めた相棒、踊ってる。曲に合わせて。
おやおや、今日は随分、ゴキゲンね。
でもこれはこれで、やっぱりかなり危なっかしい画ね…。
踊る相棒の隣で、母親のような眼差しの俺は思う。
「霧の5次元からLOVEマシーンに乗ってひょっこりひょうたん島に来ちゃったな…」
初日の朝。相棒のチョイスはザ・バーズの『霧の5次元』だった。彼がこないだ思わずジャケ買いしてしまったというその一枚は、俺も聴いたことがなかったので胸が躍った。
起き抜けにテンションの低い俺たちふたりは、スピーカーから流れる軽快なメロディーによってようやく暖まってくる。気温は低いが、気持ちが良い秋晴れの朝である。
「Fifth Dimension…ディメンション… 」 助手席でジャケットを見ながらつぶやく相棒。
「どうしたの?」と俺。
「コレ、『霧』っていう単語はないんよねぇ。原題の『Fifth Dimension』はただ『5次元』って意味なんだ。でもなんで邦題は『霧の5次元』なんだろう…」
「ビートルズの『涙の乗車券』みたいなもんだよ。アレも原題は『Ticket to Ride』だけど、邦題には『涙』が付くでしょう」−俺は、我ながら良い返答だな、と思いながらアクセルを踏んだ。
「まあ何にせよ、当時の邦題を付ける人のセンスは最高だなぁ…」 結局、『霧』問題は何一つ解決していないのだが、なんとなく納得してくれた相棒。しかしコレを聴きながら行くと、正に霧の5次元へトリップしてしまいそうな感覚へ陥ってしまうが、通り慣れた道を走る我々は迷うことなく目的地へと到着する。
本日から、俺たちが「年間を通じてもっともテンションが上がる3日間」である、九州女子大学学園祭での出展なのだ。
毎年、我々のブースは正面玄関からまっすぐ進んでトンネルを抜けた先の売店の横っちょに設営する。学園祭は校内だけでなく一般にも開放されているので、「女子大だぁ!」と鼻息荒げて勇んで来るオッサンなどは、いきなり前方右側におんなじように物騒なカオしたオッサンふたりが並んでいる画に驚くだろう。
学園祭だけあってあちこちに模擬店が作られ、おでんやお菓子など売っている。フツーの祭りと違うのはこれらすべてが学生の手作りで、実にしみじみと美味しいのである。
「…いかがですかぁ…」の声に、自分たちのブースの設営もまだ済んでねぇうちから早くも本分を忘れ祭りムードに呑まれ、
「…いいなぁ、やっぱり学祭はいいなぁ…で…なに食う?」などと盛り上がるだらしないオヤジふたり。
我々の向かいは昨年まではソフトボール部の学生たちがはし巻きを売っていたのだが、今年は初等教育科のじゃがバター屋さんに変わっていた。そのテントはBGMでモーニング娘。のCDを大音量で鳴らしている。つい先程までオッサンのオッサンによるオッサンのためのロックにどっぷり浸りここまでやって来た私らとしては、芋焼酎が欲しいのにミルクセーキが出てきたような、なんだか落ち着かない気分に陥るが、郷に入らば郷に従えである。何人たりともここでボブ・ディランのシワガレ声など望んではナラヌのだ!
で、結局、その状況に二時間もすればすっかり慣れた。終いにゃふたり、気付けば口ずさみ、口笛を吹く。無意識にリズムをとり、歌詞まで覚えちゃった。
ふと木彫りの手を休めた相棒、踊ってる。曲に合わせて。
おやおや、今日は随分、ゴキゲンね。
でもこれはこれで、やっぱりかなり危なっかしい画ね…。
踊る相棒の隣で、母親のような眼差しの俺は思う。
「霧の5次元からLOVEマシーンに乗ってひょっこりひょうたん島に来ちゃったな…」
気張レヤS51
ここ半年の自分の中での大きな変化といえば、ズバリ
「2本の発泡酒よりも1本のビール」体質になったことだ。一ミリリットルでも、一滴でも多くのサケをひたすら追い求めていた不毛なバカ呑み泥酔時代には別れを告げ、つまりは「量より質」を重視するトシになったのだ。理由はいくつかあって、アサヒの『ザ・マスター』やサッポロの『クラシックラガー』など「俺好み!」な味わいが立て続けに発売されたことも大きい。1本だけ買ったそれを、うやうやしくいつくしむように、大事に大事に呑みながら、俺は静かに思うのだ。
…また「オトナの階段」のぼっちゃったなあ…俺ぁまたシンデレラか?
…オトナの階段…時折足くじいたりもしたけれど………なんてね。
最近、同い年の連中に会う機会が多くあった。皆それぞれに久し振りの再会で、嬉しく喜ばしい一時であったのだが…、ハイ、こっから先はね皆サン、あくまでもテメエのこたぁ棚に上げて。棚に上げてね、言いますよ。俺。
「…なんだかみんな、老けたなあ……」
三十路を過ぎて、自然と仕事のストレスや今後のこと、そして病の話などが話題の俎上に上るようになった。笑いながらも、浮かない顔で。
生きてりゃ楽しいことばかりじゃないってことは理解している年である。それでも今後の会話の中で、イヤでも増えてくであろうそんな話題の数々の「兆候」が見えた、もはや俺たちはその入口に立っているってことが、妙にショックで衝撃的でもあった。
…子ども用帽子を被ってマミー飲みつつマメシバがどうとか言ってる場合じゃないのだ…。
皆、周囲の環境と戦いながら着実に「オトナの階段」を駆け上がっているんだろうなあ。ハイ、そこで!そんなアナタ!
先行き不透明な時代に、それよりなにより抜け毛が気になるアナタ!
最近笑ってもいないのに、目じりのシワが気になるアナタ!
気付けば呼吸がため息に変わりつつある、そんなアナタ!
夢の中でも働いて、起きたらグッタリ疲れてる、そんな俺!じゃなかった、アナタ!
…北九州へ、COME ON!!!
『九州女子大学・九州女子短期大学 第49回 華秋祭』
開催日:11月1日(日)〜3日(火)
−’03年から参加させていただいている九州女子大学の学園祭に、我が5115STUDIOが今年もアートブースを出展いたします。もちろん、相棒の木彫師・川部まさるも一緒です。
場所等詳細は同校HPをご覧下さい。
http://www.kwuc.ac.jp/campus/festival.html
−確かに最近「オヤジ臭」が漂うようになった我が身は認めるところだが、俺なんかアレだよ、未だにヨソの子に「オジサン」って呼ばれたら殴っちゃう。親の見てないところで。そんな俺に、同級生の友人が−
「おまえはね、アレだよね、若いというか幼いんだよ…」
…長内だと!誰ソレ!いいじゃん!オサナイだろうが引かないだろうがシンデレラだってピーターパンだって!!!俺ぁまだ青春時代を謳歌してるぜ!夕陽に向かって、叫んじゃう!!
「きんにくつうがぁぁぁぁぁいまごろぉぉぉぉぉぉぉぉ…!!!!!」
とにかくアレだ、同年代諸君!老け込むにゃあまだ早いぞ、祭りだ、ワッショイ!!!
「2本の発泡酒よりも1本のビール」体質になったことだ。一ミリリットルでも、一滴でも多くのサケをひたすら追い求めていた不毛なバカ呑み泥酔時代には別れを告げ、つまりは「量より質」を重視するトシになったのだ。理由はいくつかあって、アサヒの『ザ・マスター』やサッポロの『クラシックラガー』など「俺好み!」な味わいが立て続けに発売されたことも大きい。1本だけ買ったそれを、うやうやしくいつくしむように、大事に大事に呑みながら、俺は静かに思うのだ。
…また「オトナの階段」のぼっちゃったなあ…俺ぁまたシンデレラか?
…オトナの階段…時折足くじいたりもしたけれど………なんてね。
最近、同い年の連中に会う機会が多くあった。皆それぞれに久し振りの再会で、嬉しく喜ばしい一時であったのだが…、ハイ、こっから先はね皆サン、あくまでもテメエのこたぁ棚に上げて。棚に上げてね、言いますよ。俺。
「…なんだかみんな、老けたなあ……」
三十路を過ぎて、自然と仕事のストレスや今後のこと、そして病の話などが話題の俎上に上るようになった。笑いながらも、浮かない顔で。
生きてりゃ楽しいことばかりじゃないってことは理解している年である。それでも今後の会話の中で、イヤでも増えてくであろうそんな話題の数々の「兆候」が見えた、もはや俺たちはその入口に立っているってことが、妙にショックで衝撃的でもあった。
…子ども用帽子を被ってマミー飲みつつマメシバがどうとか言ってる場合じゃないのだ…。
皆、周囲の環境と戦いながら着実に「オトナの階段」を駆け上がっているんだろうなあ。ハイ、そこで!そんなアナタ!
先行き不透明な時代に、それよりなにより抜け毛が気になるアナタ!
最近笑ってもいないのに、目じりのシワが気になるアナタ!
気付けば呼吸がため息に変わりつつある、そんなアナタ!
夢の中でも働いて、起きたらグッタリ疲れてる、そんな俺!じゃなかった、アナタ!
…北九州へ、COME ON!!!
『九州女子大学・九州女子短期大学 第49回 華秋祭』
開催日:11月1日(日)〜3日(火)
−’03年から参加させていただいている九州女子大学の学園祭に、我が5115STUDIOが今年もアートブースを出展いたします。もちろん、相棒の木彫師・川部まさるも一緒です。
場所等詳細は同校HPをご覧下さい。
http://www.kwuc.ac.jp/campus/festival.html
−確かに最近「オヤジ臭」が漂うようになった我が身は認めるところだが、俺なんかアレだよ、未だにヨソの子に「オジサン」って呼ばれたら殴っちゃう。親の見てないところで。そんな俺に、同級生の友人が−
「おまえはね、アレだよね、若いというか幼いんだよ…」
…長内だと!誰ソレ!いいじゃん!オサナイだろうが引かないだろうがシンデレラだってピーターパンだって!!!俺ぁまだ青春時代を謳歌してるぜ!夕陽に向かって、叫んじゃう!!
「きんにくつうがぁぁぁぁぁいまごろぉぉぉぉぉぉぉぉ…!!!!!」
とにかくアレだ、同年代諸君!老け込むにゃあまだ早いぞ、祭りだ、ワッショイ!!!



