5115STUDIO BLOG

縦横無尽・全天候型イラストレーター・モトムラタツヒコの日常。

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こんにちは白熊弐號(こぐま)!!!

 考えてみると、『白熊壱號』に乗ってる間に、俺は引越しを三度も経験している。つまりは俺にとって車が変わるということは家が変わることよりも劇的な変化で、大いなる気分転換である。だからといって車そのものにさしたる興味もない俺は、自発的に調べもせず、かつてディーラーに勤めていた姉が用意してくれたパンフレットをパラパラと捲った。
車種の選定に当たり、こちらが主張した、頑として譲れない点は以下の通りである。

① 燃費が壱號よりも良いこと。
② 色は白。-白熊が好きだから。
③ エアコンが効くこと。-これが最も喫緊の課題である。

それに対し、弟思いのやさしい姉から得られた回答はきわめて簡潔かつ明瞭だった。

「…どれ選んだって当てはまるわ」

 低燃費とか低排出とか、そういった風潮の語句がカタログを飾る以前の車であったから、仕事が増える分嵩むガソリン代も壱號の悩みのタネだった。当然のことながら燃費の悪さは年々酷くなる一方で、最近はリッター6、7kmほど。遠方の仕事も増えているので、結局はこの点を最重要視し、新しい車は「クラス№1!」のコンパクトカーにした。

「とにかく、コチラが倒れる前に…」 まだまだ夏の盛りは続き、ただでさえ盆休みを控え慌しいディーラーに無理を言って、どうにか8月初旬に納車となった。
 
 ディーラーに向かうと、真夏の陽射しを浴びて真っ白なボディを輝かせた弐號の姿。そしてそれは同時に、壱號との永遠の別れの瞬間でもあった。
 さらば!白熊壱號!! お前と歩んだ16万kmを、俺は忘れまいぞ!! あんなことや、こんなことも、決して忘れまいぞ………!!

 心の中で溢れる涙を堪えつつくるんと振り返ると、眩しすぎる真っ白ボディ。
こんにちは、白熊弐號!!! 心の中に溢れかけていた涙は一瞬で乾き、いそいそと乗り込むと、エアコンからは、キチンと正しく冷えた風。これだけで、もう俺満足。思えば今夏は、酷暑とサシで渡り合い、そして(かろうじて)勝った、そんな夏だった。早速タバコを咥え窓を開けると、アラヤ! スムーズ! 車窓の開閉がこんなにもスムーズ! で…灰皿は…と…アラヤ! ないのね、今の車って! 灰皿なんか、もう! アレレよく見ると! シガーソケットも! ついてない! んまあ時代は変わったのねぇ…なんて、ぐるり後部座席を見渡せば、んんん…やっぱちょっと…狭いかなあ……まあしかし、壱號をかっ飛ばしていた頃と違い、みんなの足代わりに大量の人や物を運ぶ機会も減ったし、まあいいか。
「こぐまだな。お前はこぐまだ…」

 かくて酷暑を生き長らえた俺、思いもかけずダイエットにも成功し、ベルトの穴ひとつ分軽くなった身体でコンパクトカーよろしく小回りの利く動きにますます磨きをかける所存。
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さらば白熊壱號!!!

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「………ぁっぃ…」-さっきから我が愛車の助手席で2分と置かずそうつぶやいているのは、仲間うちで最もおとなしく、みんなから「ちったぁ声張れや!!!」とからかわれつつ「ミスター・シェマンド(※scemando-音楽用語で『だんだん弱く・消えるように』の意)」の異名を持つAちゃん。俺は彼の、蚊の羽音よりも小さなその声に敢えて気付かぬふりをして、構わず車を走らす。

 数十分後、堪りかねた彼は、それでも精一杯の気遣いで、こう訊いてきた。

「……あの……モトムラさんは……自然の風が、好きなんですか………?」

 7月某日。本日も極悪猛暑灼熱の盛り。だのに嗚呼。車のエアコンが逝ってしまった。ぶっ壊れてしまった…。エアコンつけても出てくるのは「ハアアアアアアアアアアア…」と気色悪いオヤジの吐息のごとき温風で、不快指数が増すばかり。おかげで運転中は窓全開、自宅の押入れから引っ張り出した『ミニせんぷうき』を抱えて走る珍妙な格好を余儀なくされた。

 実は愛車の異変に気付いたのはかなり早く、夏を迎える前のことだったが、「まあいいや。今年は中国行ったり東京行ったり忙しくて、車置いてく日も多いし…」なんてラクに構えていた。いざとなったら近所のガソリンスタンドでクーラーガスを注入してもらえばいいや…とタカを括っていた。しかしいよいよ夏本番を迎え、ただでさえ移動が多い日々に車内の温度も順調に上昇を続け、全身の毛穴から吹き出す汗にいよいよどうにも我慢できなくなった頃、飛び込んだスタンドの親父はこう言った。
「コレね、ガス入れてもダメですねぇ…エンジン載せ変えないと…」-なんですって!俺はにわかに現実を受け入れ難く、もう一軒、別の整備店へ走った。
「ああ、これはもうダメですね…エンジン丸ごと変えないと…」-バカぁッ! みんなのバカぁッ!! 激しく狼狽し、店を飛び出した俺の頬に、オヤジの吐息(のごとき温風)がやさしく触れて………。

…どうしよう。エンジン変えるとなるとかるく10万は飛ぶ。しかも年末は車検だぜ。合わせたら中古車買えちゃうぜ…なんて目まぐるしく悩んでいる間にも仕事は尽きず、つまりは車に乗らざるを得ない日が続き、迎えた夏は激烈猛暑ときた。折しも遠方の用事が重なって長時間の運転に意識は朦朧としはじめ「ああこれいじょういくとまずい、やばい…」なんてオールひらがなの思考回路に熱中症とか日射病なんて物騒な単語が混ざり始めて路肩に車を停めたことも幾度かあった。
 冒頭のAちゃんの質問は、そんなある日のことで…。
「うん! 自然の風、大好きィィ!! でもエアコンの風はもっと好きィィィー!!」

 俺は車の買い替えを真剣に検討しはじめた。それと同時に、デカくて白いので『白熊壱號』と名づけ、10余年の歳月と16万kmの距離を共に過ごし、今ではすっかり古びてしまった我が愛車を思った。

 初めて手に入れたときはその姿が頼もしく猛々しく、どこにでも行けそうな気がした。そして実際、どこにでも出かけた。無骨な四駆車なので、洗車なんかしなかった。汚れやシミが真っ白なボディにサマになった気がした。行き当たりばったりな時代を共有したので、車中泊も多かった。思えばあんなことやこんなこと(※ここには書けない)、およそヒトの営みにおける大概のことはこの車の中でも経験した。
 
 嗚呼本当に、エアコンさえ効いてくれれば、お前と別れる理由なんて微塵もないのに…!! 少し感傷的な気持ちになって、白熊壱號のハンドルをやさしくさすった左腕に、
「ハアアアアアアアアアアアアア…」とオヤジの吐息。

-別れよう、と俺は思った。

去りがたし蒲田の町よ ~あるいは洗礼のメガジョッキ

 中国から帰国し、クソ暑い福岡の町をハアハアゼーゼー這いずり回って一ヶ月、気がつくと羽田にいた。目まぐるしく忙しい日々が続き、息継ぎなしで遠泳し、ふと水面に顔を出すとそこは東京の町だった…なんだか、ホントにそんな心境の7月初め。

 いつでもどこでもビールばかり呑んでいてつい忘れてしまいがちになるが、よく考えてみたら俺は絵描きであるので、たまには絵描きッぽいことに精を出さにゃァなるめェ! と思い立ち、同じく絵描きの友人・Mちゃんに誘われるがままに、都内で開催される大規模なアートイベントへ出展の運びとなった次第。

 午前10時半。空港に着くと、とりあえず今日もしっかり暑いのでとりあえず適当なカフェに逃げ込みとりあえず生ビールを注文した。タタカイは始まったばかりだが、まずは燃料補給である。

 空港から電車で今回の「遠征」の拠点となる町・蒲田へ。予約していたホテルに荷物を預け、少し空いた時間を利用して駅前の繁華街を散策。知らない町を歩き回るのはいつだって楽しいものだ。商店街を歩いたが、多くの居酒屋や飲食店が下世話に煩雑に(失礼ね)ひしめき合うさまは、我がふるさとの北九州市を想起させ、なんだか妙な親近感。

 JR蒲田駅でMちゃんと合流。彼女との再会も2年前の横浜以来だ。電車を乗り継ぎ会場へたどり着き、それぞれブースの準備をチャッチャとこなす。
一仕事済ませると強烈に猛烈に喉の渇きを覚えた。正午を過ぎて上昇し続ける気温と都会の雑踏が拍車をかけ、再び蒲田の町に戻るなり、俺はMちゃんに言った。

「…呑みに行かないか……?」-時計を見ると、まだ午後4時少し前。額に汗を浮かべ様々に行き交う「はたらく人々」を横目に見つつ、しかしそれでも我々の目下の仕事は終わったのだから、あらためて再会を祝しましての乾杯もバチ当たりではない気がした。

 商店街のアーケードを右手に高架下の道をどんどん進んでいくと、一軒の店先に『メガジョッキ』なる文字を認めた。なんて魅惑的。ソレがこの町の洗礼というならば、喜んで受け入れようじゃあないか!
 気付けば店の暖簾をくぐり、高さが煙草の箱の3倍はあろうかという「たしかにメガ」なジョッキを煽る俺がいた。

メガジョッキ
↑メガジョッキ! その頼もしく、崇高なるサイズよ!!!

 嗚呼そして白状すれば、その一杯を皮切りに「日が暮れりゃ乾杯」、怒涛の数日間を俺たちは過ごした。普段はあまり呑まないが、再会後完全に俺のペースに乗せられた格好のMちゃんは、こんなに毎日呑み続けたの初めてですよ…と笑った。

 赤提灯がやさしくともる通りに踊る酔客を避けながら、Mちゃんは続ける。
「この町はねぇ、汚しても良い町なんですよ」-良い表現だなあ。その一言がこの町の魅力を凝縮しているような気がして、俺はまたこの町に来たいなあと思った。そしてまた、メガジョッキを煽りたいなあと思った。そしてそして、美味い酒に酔い潰れるために明日もこれからもがんばろう…なんて、ホロ酔い加減でボンヤリと誓った。

中国啤酒和旅途的画册④

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2013年中国旅行記⑤ 旅の終わりの苦い味

 鴨緑江の川岸から望む北朝鮮は、丹東から眺めるそれと違い、山々の美しい「田舎」の風景。澄み渡る晴天も手伝って、なんだか拍子抜けしてしまうほどに牧歌的であった。慌しく集安の町をあとに、再び陸路で500キロの長春へ戻る。

 翌朝、いよいよ旅の最終目的地である大連を目指す。早朝の長春駅は早くも喧騒に満ち、多くの人々でごった返している。長春滞在中にさんざんお世話になったKさんと慌しく別れ、高速鉄道に乗り込む。

 2012年12月に開業したばかりのこの高速鉄道、路線の正式名称は「哈大旅客専用線(はだいりょかくせんようせん)」といい、北はハルビンから南は大連まで、全長904 kmを結ぶ。まあ日本でいう新幹線だ。長春~大連間はおよそ600km、所要時間は3時間20分。空路もあるが、高速鉄道開通後は利用者が減少し、今後は廃止の予定だという。

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↑サービスで配られるミネラルウォーターとおつまみセット。列車のイラストの箱の中にはピーナツ等のお菓子が入っている。

 この旅唯一の列車移動に、しかし心が晴れないのはこの列車に(ビールの)移動販売がなかっただけではなく、確実に「旅の終わり」が近づいているせいだ。
 私は例によって「帰りたくない病」を発症し、車窓に流れる景色の向こうに別れがたしあの顔この顔を思い浮かべた。各地でお世話になった方々は勿論のこと、長春滞在中に「朋友」Uさんとの再会がついに叶わなかったことが、なにより心残りであった。

 大連駅に着くと、出迎えてくれたのはエンエンだ。彼女はこの春、北京から越してきたばかりなのだが、素早く我々を降車場までナビゲートしてくれた。中国の駅は、どこも巨大だが案内表示がきわめて少ないので、彼女が居なければ我々は途方に暮れていただろう。
 彼女の車に乗り込み、一旦荷物を置くためホテルへと向かう。大連は二度目だが、新しい道路がどんどん出来ていて風景と記憶が一致せず、まるで初めて訪れたような印象を抱いてしまう。
 ホテルに荷物を置き、近くのレストランで昼食に『黒獅啤酒』を楽しんだ後は、再び車で旅順へ向かう。旅人はとにかく時間が惜しく、片時もじっとしていたくないのである。そんなワガママな一行の要求に応えるべく、エンエンは慣れない道をそれでも快調にカッ飛ばしていく。彼女は前回会った時よりもさらに逞しく頼もしく素敵な女性になっていた。

 遼東半島最南端・旅順口は日露戦争の際、日本が一大軍事拠点を置いた場所であり、現在も多くの史跡が残る。白玉山景区の土産物屋を覗くと、老人が日本語で当時の様子を説明してくれた。戦争を知らない世代が国の中枢を占め、どんどん物騒な気運が高まる今、こういった「語り部」の存在はますます貴重に、そして重要になるだろう。

 旅順から大連に戻る頃には日も暮れ始めた。夕食はこれぞ港町・大連! というべき巨大な海鮮レストラン。この秋に結婚予定のエンエンのご主人も合流し店に入ると、あちこちに設えられた生簀や水槽に夥しい量と種類の魚が泳いでいる。まるで水族館のよう。客は食べたいものを注文し、その場で調理してもらうシステム。注文はエンエンとご主人のふたりに任せて、私はもっぱら水槽の魚の撮影に努めた。ヒラメにライギョにナマコにシャコ、なにかよくわからないモノまでとにかくいっぱい泳いでいて、見ているだけで楽しめる。

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↑生簀の値札。なんとなく困った表情の魚の顔がかわいい。ちなみに『多宝魚』とはヒラメのこと。


 新鮮な海の幸を充分過ぎるほどに満喫したあとは、ホテルの巨大な温泉(プールサイズ)に浸かり、駆け抜けた10日間の疲れを癒やす。身体の芯まで温まり、売店で首尾よく缶ビールを手に入れて、心地良い疲労感を憶えつつ部屋に戻る。

「ああもう、終わっちゃうんだな。この旅も。(今回の旅行記の冒頭に書いた)歯ブラシの件とか、一切わかんないままだったけど、終わっちゃうんだなあ。明日、目が覚めたら「実は初日の北京でした!」なあんてことになんねえかなあ。なんねえだろうなあ…」

-とりとめなき思考に啜る青島ビールはぬるく、そして苦い。私は残りわずかな滞在時間をいとおしむよう、チビリチビリと啜った。(おしまい)

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Author:モトムラタツヒコ
福岡市在住のイラストレーター、モトムラタツヒコです。

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